2021年8月3日午前9時35分、病院にやって来ました。いよいよ入院です。
この日は雨が降ったり止んだりの生憎の天気です。この後1週間は病院に缶詰になるので天気なんてどうでも良いのですが、やはり「晴れの舞台」は晴れていたほうが良かったですよね。
結局入院日と手術当日の付き添いは母に頼みました。
この病院は公共交通機関を利用すれば行けるのですが、今のこの時期、入院前に混んでいる電車に乗るリスクを負いたくなかったのでそれは止めました。母は随分前に運転免許を返納していましたし、タクシーで行こうかと思っていたところ、兄弟が送ってくれるということなので甘えることにしました。
ドタバタの入室
病院へ着くとすぐに入院受付に向かいます。診察券と保険証を出そうとしたらカードホルダーからいろいろな診察券がポロポロとこぼれ出てしまいました。
「慌てなくていいですよ」なんて言われてしまいますが、慌てているわけでも緊張しているわけでもないのにどうしたことですかね?たまたまです。たまたま。
ほどなくして、病棟から看護師さんが迎えに来てくれました。病棟につくと、部屋へ案内される前にナースステーションで一旦ストップ。書類の確認です。連絡先や保証人等、準備するように言われた書類や歯科医から預かった診療情報提供書を渡します。
付き添いは別に記入する書類があります。これ、コロナ用です。連絡先や体温などの記入です。この日は当然母が記入するわけですが、横で見ていたら体温の欄に「37」と書いています。
「え?」
アウトじゃあないですか、それ。37度は今の御時世、どこも入れてくれません。ちなみに体温は病院の入口の非接触型の体温計で確認してきたはずです。
「あら!」
当然、看護師さんは驚いています。「37度だと中には入れないですねー」そうですよね。
「ちゃんと確認した?」という私の問いに思わぬ返事が返ってきました。
「眼鏡忘れて全然見えなかった」
何ということでしょう。体温計の数字をちゃんと読めてなかったようです。だから家の玄関に「眼鏡」って書いた紙を貼っておきなさいと前から言っているではないですか。
ただ、見えなくてごまかすにしても何故「37度」って書いたのでしょうか。だってアウトじゃん、それは。37度あったら何か自覚症状もあるでしょうに。
微妙な笑顔を作った看護師さんが「計り直しましょう」と体温計を出してくれました。案の定36度台です。でしょうよ。
ドタバタしましたがやっと入室です。
明るい看護師
部屋は4人部屋、窓際のベッドに案内されました。病室の先客は2名。そのうち1名は高齢の女性のようでしたが、すぐに部屋を移るようです。さすがにいくら高齢者でも男女混合の病室はありません。
今の病院は大部屋でもベッドごとについている間仕切り用のカーテンを閉めていることが多いですね。この病室も例に漏れず全てのカーテンが閉まっているので同室がどんな方かは分かりません。
この部屋には今日1泊だけ。明日には手術、その後はICU(集中治療室)に直行します。
さんざん書いてきましたが、父の介護ですっかり病棟慣れしています。病室のレイアウトなんかだいたいどこでも似たようなものですから、さっさとロッカーに荷物をしまい、貴重品を床頭台(テレビなどが置いてあるベッドサイドの移動式の台)の鍵付き保管庫にしまいます。
「大西さん、入院は子供の頃以来って言ってましたよね?」
看護師さんが不思議そうに尋ねてきました。
とても手慣れているように見えたようです。そうです、手慣れているんです。ここ10年ほどは入院の付き添いは数十回経験しています。
荷物はお気に入りのアディダスのスポーツバッグに詰め込んできました。普通のタオルと大きめのバスタオル、下着、寝間着、充電器、歯ブラシセット等々。寝間着を持参することになったので予定外に荷物が膨らんでしまいました。(注:第10話参照)
そうこうしていると、迎えに来てくれた看護師さんとはまた別の看護師さんがやってきました。今日の私の担当看護師のようです。ハリセンボンの予備メンバーといった雰囲気のとても朗らかな看護師さんです。
ここでその後の予定の話になるのですが、ちょっと予定の変更がありました。
実はこの日は16時頃から主治医の先生が明日の手術についての詳しい説明をする予定だったのです。その時に家族も同席して欲しいということでした。ところが、この日も手術の関係上先生がなかなか時間が空かない。14時頃に30分ほど時間が取れるかも分からないが保証はできない。その時間が無理だといつになるかわからない。そんな事を言われました。
明日は我が身です。慣用句ではありません。リアル「明日は我が身」です。手術に集中して頂きましょう。説明なんて、そんなの全部終わってからで構いません。
そうなると明日のこともあるし、母に待っていてもらうのは無理そうです。説明は私一人でも良いということで、母には一旦帰ってもらうことにしました。この時点では手術時間も聞いていなかったので、決まったら連絡することにしました。
一人になってぼーっと窓から外を眺めていると、再び先程の看護師さんが。
「今回の入院はどういう話で聞いていますか?」
随分とざっくりとした質問だったので真意がわからず、
「え?どっから話せばいいんですか?」と疑問をぶつけたところ、どうやら、自分が何故入院したのか、そしてどの様な治療を行うのかを知らないまま入院する患者が時々いるらしいのです。そのために確認するのだとか。
何ということでしょう。高齢者が多くなりがちな分野ではあるけれども、自分の状況が分からないまま入院して体を切られるというのはどうなんでしょうか。今回の流れの中で、自分の状況も他人事とは思えない部分があったのでちょっと考えてしまいます。
「えっと、心臓の弁がちゃんと閉まらないので、それを治すために手術をします」
バカみたいな返事をしました。
「はい、わかりました」
変な会話。
ただ、最近は病院では事あるごとに名前と生年月日を自分で発話して確認しますよね。これもそうですが、やはり病院の尋常ではない忙しさ、患者数の増加などもあり、取り違えなどの間違いを犯さないためには一つ一つの確認作業が必要なのでしょうね。
そして翌日のICUに持っていく荷物のチェックです。ICUにはオムツやタオル、ガーゼ寝間着など必要最低限のものだけを持っていきます。そのための一回り小さめのかばんに予め別に詰めて来てあります。褒められました。えへん。このときにあの寝間着の話がでます。(やはり第10話参照)
ちなみにICUで使うガーゼ寝間着。聞き馴染みのない方もいると思います。私もアレをガーゼ寝間着と言うとは知らなかったです。要するにガーゼ素材の寝間着は全部ガーゼ寝間着なのですが、病院で使うのは浴衣状の前開きのものです。カテーテルやら何やらいっぱい体に繋がってますからあの形状が一番便利なのでしょう。旅館とかでタンス開けると入っているちょっと生地の厚いアレです。太っててパツパツだからと大きいサイズを選んだら今度は裾がズリズリするアレです。
残りの荷物はワゴンに載せて保管。ただし貴重品は預かれないということなので、明日の手術前に母に財布とスマホは一旦持って帰ってもらうことになります。一般病棟に移る時に持ってきてもらわないといけません。防犯上仕方ないとは思うのですが、専用ロッカーとか作るわけにはいかないのでしょうか。でも誰でも思いつくようなそんな方法を用いないということはそれなりの理由があるのでしょうけど。
このあとすぐに病室で採血です。いっぱい取られます。
「大西さん、いい血管してますねーーー、抜きやすそーーーー」
もの凄い嬉しそうです。
太っていた頃は血管も埋まり、周囲の贅肉の圧力に押されて縮み、採血にはいつも苦労していたのですが、痩せてからは血管はもりもりなので確かに採血しやすそうです。しやすくなっています。
「いやーーー、どこでも刺せるわこれ。いやーーーやりやすい、すっごいやりやすい」
面白いな、この人。
この方、当然その日の担当看護師なので、その後もいろいろとして頂くわけですが、常時こんな感じでした。その後剃毛もしてもらいましたすが、そのときもずっとこんな調子です。ついでに剃毛の話も。
ソルジャーブルー
ほぼ全身の毛を剃ります。全部です。ただし、クリームつけてカミソリでジョリジョリと丁寧にツルンツルンにするというほどでもなかったです。切開する胸や鼠径部も含めて、電動シェーバーのキワゾリ刃の部分でザリッザリッと大まかに剃る感じでした。剃り跡を手でなぞると、少し毛を感じる程度。
それにしても何故全身なのか、特にスネとか関係ないだろうと思って聞いたらそうでもないようです。
手術中に不慮の事態で血管が必要になった場合、脚から代用の血管を取るらしいです。そのための脚剃りらしいです。要するに、手術中はどこをどう切ってもいいように全身の毛を剃っておくということのようです。
剃ってる間も看護師さんは喋り続けています。
「いやーー背中すごいね、筋肉すごいね、いやーーーー」
止めて下さい。こっちは全裸なんです。さらけ出して毛を剃られているのです。
念の為に言っておきますが、私の筋肉は全然大したことありません。このブログのどこかにダイエットの比較用に写真もあるので気が向いたら見て下さい。ちゃんとしたアスリートに比べたら鼻で笑われるレベルです。しかも弁膜症が見つかって以来運動を控えているので、身体はすっかりしぼんでいます。でも考えてみれば、ここの病棟の患者さんは心臓に病気を抱える、しかも高齢者ばかりです。この日に見かけた方たちもそんな人々でした。確かにこの病棟内に限って言えば私の筋肉は圧倒しているのかもしれません。なろう小説の主人公の様です。
でも止めてください。鼠径部の剃毛しながらそんな事言うのはよして。
予習の時間
この日のうちにやることはいっぱいです。
まず、代わる代わる医療関係者が病室を訪れます。今回私の治療にあたってくれる各分野の人がやってきます。
翌日の手術に参加していただく麻酔医、手術看護師、前回も見てくれている歯科医、看護師長、ICUの看護師、薬剤師、管理栄養士などなど。
この記事を書くにあたってその時に見せて頂いた書類や署名した同意書なんかを見返しているのですが、その日の情報が多すぎて、どれを誰がどのタイミングで説明してくれたのか記憶が曖昧になってしまいました。とりあえず羅列していきます。
入院診療計画書
何はともあれ、最初にこれですね。
入院してこれから何をするのか、どのような治療、看護をするのかを非常にざっくりと書いてあります。ざっくりオブざっくりでございます。これも父のときに何度も見ているのですが、これ、いるか?
いるんでしょうね。レシートみたいなものでしょうか。説明したよってことなんでしょうね。さきほどの入院経緯の確認と似たようなものなのでしょう。
医療過誤訴訟とか問題になってますが、お医者さんもいろいろ大変です。言った言わないの水掛け論回避するためでしょうか。
このとき、食事は1800kcalで一般食と書いてあるんですが、そんなのは術前の初日だけだったような気がします。術後は当然減塩で味の薄い薄い食事。退院するまで毎日全粥(水5:米1)で1600kcalでした。あれ一般食なんですかね?糖尿病や腎不全のような食事が特殊な場合の患者と比較した場合の一般という意味なんでしょうか。
そしてやっぱりバーコードはとても長い。
せん妄と肺血栓塞栓症の説明
せん妄というのは精神障害の一種で、特に術後の体調や環境変化などが原因で起こるものを術後せん妄と言うそうです。
これも父の時に見たことがあって、その時はベッドサイドの床頭台の引き出しに母が入っているので出してやれと言いだして、いくら看護師さんが説明しても納得しませんでした。
高齢者には結構多いようですが、説明に来た看護師さんは私を見て、「大丈夫そうですね」と言って説明をざっと流して終わらせました。やはり若い人には起きにくいのでしょうか。「話をしてる感じだと大丈夫だと思います」とも言われましたが、せん妄が出そうな人はそれなりに「そんな感じ」が出てるんでしょうか。それとも私を落ち着かせるために言っただけなのでしょうかね。ちょっと分かりませんでした。
続いて肺血栓塞栓症ですが、これは「エコノミー症候群」と言ったほうが馴染みがある人が多いのではないでしょうか。飛行機の狭いエコノミー席に同じ姿勢で長時間座っていると、脚の静脈に血栓ができて、それが肺に行って血管を塞いでしまうことで起きる症状です。
考えてみれば「エコノミー症候群」ってちょっと小馬鹿にした言い様ですね。時代かな。結局ファーストクラスでも起こり得るという事で今では「ロングフライト症候群」と言われているらしいです。まあ同じものです。
あら、この説明書きは「エコノミー症候群」になってました。
つまり、入院中はベッドで同じ姿勢でいる時間が長いためにそういった症状になりやすいらしいのです。その予防法などを説明してもらいました。ただ、私はMICS(低侵襲手術)だったため、かなり早い段階で体を動かすことができたので、入院中にこの件を特に意識したことはありませんでした。一応頭には入れておいたというくらいのレベルですね。
へたうまな深呼吸
思わず突っ込まずにはいられない説明書きです。もちろん本当にツッコミはしなかったですけど。
手術直後、弱っている肺を回復させるための呼吸法の説明なのですが、まずはこの書類を見て下さい。
他に誰か絵の上手い人はいなかったんでしょうか。いえ、伝わることは伝わるんですがこれはないだろうという気がします。絵の上手い人がいなかったとしても他に方法はありそうです。だって、少し戻って「せん妄」の説明を見て下さい。ちゃんとあの「いらすとや」さんのフリー素材を使っているではないですか。ひょっとしたら、いらすとやに丁度いい素材がなかったのかな?と思ったらちゃんとありました。
「深呼吸」で検索したら出てきましたよ。これ使えばよかったのに。
歯のチェック
何度も書いていますが、術前のお口の中のチェックです。
前回診てくれた歯科医の先生が病室まで来てくれました。事前にかかりつけの歯医者さんで点検とお掃除は済んでいますので、ここでは簡単なチェックのみです。お口をあ~んと開けて中を見て終わり。あっという間に終わりました。
この歯科口腔外科の先生は女性の方だったんですが、名前がとても素敵な方でした。宝塚歌劇団みたいな名前でしたね。「紫吹淳」とか「鳳蘭」みたいなそんな名前。そんじょそこらではあまり見かけない類でした。
麻酔(その他)の説明
これは麻酔医の先生が説明に来てくれました。
(その他)とあるのは、なにやら麻酔科の医師は手術中に眠ってもらってハイおしまいと言うわけではなくて、各種モニターの管理など他にやることもいっぱいあるらしく、それらをひっくるめて説明して頂きました。
手術が始まってから、ベッドで横になり、麻酔をかける手順。そして手術中は色々なところから、色々なラインが体の中に入ってきます。その意味とそのリスクの説明もありました。
上の書類にも書いてありますが、呼吸を確保するための管を口から入れるらいしいです。
首から点滴を入れるらしいです。よくある手首とかじゃなくて首なのは、より早く点滴を入れるためらしいです。
また、やはり首からカテーテルを入れて何やら心臓のモニタリングをするらしいです。
鼻からも管を胃まで入れて、心臓を外側からではなくて体の内側、胃の中からエコーで監視するらしいです。
手首には静脈ではなく、より深い場所にある動脈まで針を刺すらしいです。これは血圧をリアルタイムで測定するためらしいです。手術中にいつもの血圧計でプシュプシュやってたんじゃ埒が明かないということらしいです。
尿道には小便を外に出すための管をいれるらしいです。
とにかく「らしいです」がたくさんです。初めて聞くことばかり。素人なので「らしいです」レベルでしか分かりません。
でも、自分が何をされるのか、そしてそれにはどんなリスクがあるのかは理解できました。
今日のお薬
薬剤師さんがこられました。お薬の確認です。
確認というか、その日はすでに朝飲んできています。このあと特別ななにかを処方されるということもありません。全ては術後。ただし、この日よく眠るための睡眠導入剤と便を出すための緩下剤だけは出されました。下剤については浣腸した人もいるなんていう話も聞いたことがありますが、私は緩下剤(効果が緩やかなやつです)だけ。MICS手術なのですぐに動けるようになるからでしょうか。
お薬の話を病棟でするときって、必ず「普段は自分で管理しているか、他人にやってもらっているか」を確認されますね。私はもちろん全部自分でやっているので、看護師さんが食後に置いていかれる薬を自分で飲むだけです。あれって、「自分でやってません」って答えたバージョンはどうなっているのでしょうかね?
父に付き添っていたときもやはり聞かれて、その時は「いえ、私が全部管理しています」と答えていたわけですが、病棟での薬の飲み方は同じでした。私がいようがいまいが父の前に薬を置いていくだけ。例えば、認知機能に問題のある人とかだと変わってくるのでしょうかね。きっとそうなんでしょうね。そう思おう。
いつもの検査&剃毛&シャワー
先程剃毛の話をしましたが、剃り終わったらシャワールームで体を清めます。ゴシゴシ。
学生時代によく利用したコインシャワーの様な狭いシャワールームで体を洗います。洗いながら改めてむきたまごになった自分を確認します。
今回の入院はそれほど期間が長くならなさそうだったので、入浴用の石鹸やシャンプーを持って来ていませんでしたが、今までの患者さんが置いていったものがあるということで、そちらを貸して頂きました。そういうのが気になる人はきちんと準備していったほうが良いでしょうね。旅行用の小さいのでいいと思います。手術後はいつシャワーを浴びれるのかわからないので気の済むまで洗いましょう。
そして空き時間で、胸部レントゲンと心電図の検査。これはいつものやつ。1人で検査室まで行ってさっさと済ませます。手首につけた患者管理用のバーコード付きリストバンドを窓口でピッとやるだけです。便利です。このリストバンドは入院中は付けっ放しです。
試しにカロリー管理アプリで有名なあすけんで自分のバーコードを読んでみましたが、エラーになりました。私は食材としては登録されてないようです。良かったです。昔流行ったバーコードバトラーで読み込んだらどれくらいか知りたいところです。
検査の帰りに院内のコンビニに寄って、テレビ視聴用のイヤホンとお水を買って病室に帰りました。
そういえば、SNSなどで弁膜症手術をした方のお話を見ていると、検査入院をして事前にカテーテル検査などをしている人もおられるようだったのですが、私の場合は何もなし。前日までこんな感じで本当にカジュアルです。健康診断でやるような検査だけ。大丈夫なのか?ちょっと不安になります。それだけノウハウが蓄積されているということなのでしょうか。手術実績は申し分ないようなので大丈夫なんでしょう。何しろ翌日なのですから悩んだところで今更です。
忙しい執刀医
説明は14時には無理でした。やっぱり遅くなりそうですとの連絡がありました。ただ、翌日の手術の時間は決まったようです。午前9時、朝一番です。
何故でしょう、手術は多分午後からだよねえ、なんてずっと思い込んでいましたが、午前中にすることだってありますわね。でも早いほうがソワソワする時間が減っていいな、なんてその時思いました。
その後、18時の夕食の時間が近づいてきても一向に説明が行われる気配がありません。ヤキモキしていると看護師がやってきました。
結局主治医の先生はどうしても時間が空かないので、代わりに手術で助手を務める先生が説明をしてくれることになりました。この後すぐに来られるということです。
主治医には2ヶ月前の診察時に会ったきりです。手術まで会えそうにありません。挨拶だけでもしたかったのですがしょうがありません。残念だなと思っていましたが、実はこの変更が大ヒットでした。
代わりに説明役を担ったこの先生の話が実に細かく丁寧でわかりやすい。そしてよく喋る。
いえ、決して特に口数が多いというわけではないのだろうけれど、比べればという話です。いえ、誰と比べてるとかじゃなくて。
30分くらいかけてご説明していただいたでしょうか。今までと比べて、違う、比べない、話がスイスイと入ってくる。これはいい。手術前に全部納得できそうだ。この先生はこの後も手術直後や退院前の説明もして頂き、毎回とても分かりやすかったです。
神の手を持つ無口な執刀医と神の舌を持つ雄弁な助手。これも一つの理想的なチーム医療といえるのかもしれません。うん、でもちょっと違う気もする。
私にとってはとても良かったです。おかげで最後の最後に手術に向かう気持ちが整った気がしました。
ここでの説明をここで書くと長くなりそうなので、話を分けようと思います。
続く。