第1話 ことのはじまり

手が氷るぺんぎんさん

きっかけは手指の冷えだった

このブログのメインで扱っているように、私は大規模なダイエットをしました。

120kgあった体重を3年かけて65kgまで落としています。

別に無茶なやり方をしたわけではなく、食事量を減らし、運動をし、当たり前のことをやりながら時間をかけて行った結果ですから、ダイエットのために体に過剰な負担をかけたというようなことはありません。

ところが2020年の秋を迎える頃、ダイエット開始から2年半ほど経過して、体重がそろそろ50kg近く減ってきたであろう時期です。両手の指先が極端に冷えるようになってきました。冷たいというレベルを超えて痛い。それも指先だけなのです。

運動して体はポカポカして汗もかいているのに手指だけまるで冷凍庫に入っていたかのよう。冷蔵庫ではありません。冷凍庫です。氷のように冷たいのです。

そのうち、今度は鼻の頭も同様に冷えるようになってきました。やはり痛いほどです。不思議なことに足先はなんともありません。

始めは大きく体重を減らしたことによる副作用かと思っていました。体脂肪が減れば寒さに敏感になるのは当然ですし、人によっては冷え性に悩まされることもあると聞いたことがあったからです。

ところが、症状が極端で、どうもそうではないような気がします。

そこで、高尿酸血症(通風)と高血圧予防のために定期的に通院している生活習慣病外来の先生に相談してみました。

その先生の見立てでは、その症状は神経内科を一度受診しほうが良いのではないかということで、地域の基幹病院宛に紹介状を書いていただくことになりました。

これがすべての始まりです。

いえ、病気自体はかなり前から進行していたらしいのですが、病気に気がつくきっかけはこの出来事だったのです。

紹介されたのは地域でも最大級の病院です。予め予約された日に脳神経内科へと向かいました。

その日の診察は予約した時間よりも1時間以上遅れて始まりました。待合の人数から察するに患者数も多かったようなのですが、それ以外の理由が診察を始めてわかりました。

この先生、とても丁寧なのです。

ものすごく時間をかけて、隅々まで問診をし、体をチェックしてくれます。

それによって結果的に待ち時間がとても長くなってしまってはいるのですが、例えばそれに対して「必要以上」の時間などと切って捨ててはいけないでしょう。待ち時間の長さから受付に食って掛かるような残念な人も度々見かけますが、それによって救われる命も相当数あるのです。結果的に私はそうだった。

実に丁寧にいろいろな質問、チェックをしました。直線上を歩いたりハンマーで関節をコツンとしたり、片足立ちしたり。

あちこち調べたあげく、結局どこも異常はなさそうだなあ、となった頃、先生が

「ちょっと一回胸の音聞かせて」

と聴診器を私の胸に当てました。

そこでちょっと聞いたことのない、あまり聞きたくない質問をされることとなります。

「??、、、心臓に穴開いてるって言われたことない?」

あるはずありません。考えたこともない。

同時に強烈な不安が襲います。

「え?それはつまりそういうこと?その可能性があるということ?」

理解できず戸惑っていると、先生はやはり「心雑音がある」と言い切ると、ちょっと胸部X線を撮ってきてください、ということでレントゲン検査をすることになりました。

撮影を終えて神経内科の待合へ戻ってきましたが、先程説明したようにこの先生、患者さん一人に対しての診察がとても丁寧で長い。このあとやはり1時間ほど待ちました。

長いな、と思ってはいましたが、同じ待合にいたご老人が事務の人に「混んでいて検査まで3時間位かかりそうです。先にお食事でも」と勧められているのを小耳に挟んで「ああ、俺はまだマシだな」と納得します。

長い待ち時間を経て、再び診察室へ入るとその丁寧でフランクな先生はX線画像を見ながら

「心臓でかいねえ」

と言い放ちます。

モニターに映されたX線画像で心臓のスケールを図りながら、示された「60」という数字。

ざっくり言うと、胸の大きさに心臓の大きさが占める割合のようです。

「これ50%超えるとデカイの。心肥大。やっぱり何か心臓にあるね。調べたほうがいい」

すぐに同病院内の循環器内科への紹介状を書いていただきました。

「とりあえず、そっち、先に診てもらおう」

という脳神経内科の先生の指示通り、診察室を出たその足で循環器内科の診察予約に向かいます。

1週間後の診察と心電図、心エコー検査の予約を済ませ、大きな不安を抱えながらその日はとりあえずは家路につくのでした。

注:この手指の冷えの症状については残念ながら弁膜症治療後も治ってません。今もハッキリとした原因は分かってはいませんが心臓とは関係なかったようです。