30年前の銭湯の思い出

昭和レトロな銭湯のペンギンさん
ダイエット120kg→65kg 39%→13% 目標達成

それはバブル真っ盛りの東京での出来事でした。

ある日いつものように銭湯に行くと、一人の白人の外国人と思われる男性が番台の方と軽く揉めている。揉めているというかその外国人男性が困っている様子。番台の店員さんが一生懸命身振り手振りで説明しているようでした。

ちょうど当時はどんどん入泉料が上がっている時期で、私が初めて銭湯に入ったときから毎年10円ほどの値上げが続いていました。その時も値上げの直後。どうやらその外国人らしき方は値上げを知らなかったらしく、店員さんはそのことを説明しているようでした。

二人を尻目にさっさと中に入って湯船に使っていると、しばらくして先程の外国人が服を脱いで洗い場に入ってきました。

彼はすぐに風呂場の椅子(あの体を洗う時のちっこい椅子)に腰かけると、おもむろに頭を抱えてうなだれてしまいました。その後もしばらくの間、頭を抱えてうなだれ続けていたのです。

それが値上げに対するものなのかどうかさえも確認することは出来てはいないのですが、もしそうだとしたら、たった10円の値上げに対する彼のリアクションの大きさにとても驚いたのを覚えています。

すでに昭和が終わろうとしている時期ではありましたが、当時は今ほどには外国人の人口が多くない頃です。

ちなみに総務省のホームページからお借りした統計がこちらです。

外国人人口の推移
外国人人口の推移

昭和の終わり頃の外国人の人口は今の半分以下です。
また、それまではその多くがお隣の韓国・朝鮮の方、あるいは中国の方で、これは来日していたというよりも、戦後ずっと日本で生活しておられる方も多くおられます。

グラフを見るとおり、平成に入ってから中韓以外の外国人の方がたくさん日本で生活するようになります。

先の銭湯の話に戻ります。

あの時代、どんな事情で日本で暮らしていたのかはわかりませんが、少なくとも銭湯に行かないといけない(自宅にお風呂がない)経済事情の中で、(多分)遠い異国で暮らしている彼がたった10円の値上げに頭を抱える姿が、貧乏学生とはいえ、親のスネをかじりまくっていた当時の自分にはとてもとても衝撃的でした。

浮かれまくっていた東京での話です。

札束飛び交う東京の片隅で、銭湯の10円の値上げにうなだれる外国人。

その後バブルも弾けてなんやかや。あれから30年経っています。

外国の方々から見た日本は、あの頃よりも住みやすい国になっているのでしょうか。

内側からみている私にはわかりませんが、コロナ禍が終わって、また世界中のいろいろな国からいろいろな人が日本に訪れて、幸せな体験をする事ができる日が来ることを強く強く願います。