第2話 専門医の診察スタート

循環器内科へ

通風と高血圧のために通院している近所の内科で紹介状を書いてもらって大きな病院の脳神経内科へ行き、そこで心雑音を指摘されたことからいよいよ心臓の専門医、循環器内科へとたどり着きました。

間にゴールデンウイークを挟んでいたこと、そもそもいつも混んでいる病院だったことで神経内科を受診してから1週間後になりました。

その日は前回と違い過剰に待つこともなく、ほぼ時間通りに診察室に入ると、挨拶もそこそこにとりあえず先にもろもろの検査ということで再び診察室を出ます。

心臓の検査

心電図、心エコーの検査です。胸部X線は前回の神経内科の診察時に撮ってあるのでスキップです。

肝臓のエコー検査は健康診断でおなじみの方も多いと思いますが、心エコー検査はなかなか馴染みがありません。未経験です。

心電図はいつものやつだなと思って検査室に向かったのですが、少し思っていたのとは違いました。

胸、脚、腕に端子をつけて心電図を計測するのはよく知られたものと同じですが、安静時に一度計測した後、階段の昇り降りを2分ほどやってから再び計測します。心臓に負担をかけた状態で計測するようです。階段といってもいわゆる本物の階段ではなく、検査室に置いてある「凸型」の2段ほどの踏み台です。これを登って降りて往復します。

折も折、マスクをしていますので多少の息苦しさはありますが、少し前までHIITと言われる高強度インターバルトレーニングなんぞをしていた体です。2段の階段登るくらいでは息も切れません。

再び横になって計測を始めると技師の方が

「苦しいですか?」

何ともないので「大丈夫です」と答えます。本当に何ともなかったのです。

型通りの質問かなと、この時は受け取ったのですが、どうやらそうでもないのかなというのは、この後の心エコー検査で思いました。

心エコー検査は体の右側を上にして横向きに寝た状態での超音波検査です。健康診断で肝臓の検査をされた方は多いと思います。ゼリーを塗った検査器を体にグリグリ当てて検査するやつです。心エコー検査なので、当然当てる箇所は胸、心臓の位置。

検査が始まってまもなく、検査技師の方が聞いてきました。

「苦しくないですか?」

やはり何ともないので「苦しくないです」とは答えるのですが、なにやら察してしまいました。

先程は踏み台昇降の直後、息が上がっていてもおかしくはない。苦しい場合もあるだろう。

でも今は横になっているだけ。先程の質問に続いて、この状態で同じことを聞かれるということは、どうやら苦しくて当然の状態なのかもしれない。通常は苦しいであろう検査結果が示されているのかもしれない。やっぱり結構悪いのかな?そんな疑問はまもなくはっきりとします。

再び診察室へ

検査が終わってから1時間以上は待ったでしょうか。循環器内科の待合ロビーで呼ばれるのを待っていると、何人もの患者さんが順番に診察室に入っていきます。アラフィフの私はどうやら最年少のようです。みなさんかなりご年配の様子。加えてかなり体力的にも難がありそうで、歩くのもおぼつかなさそうな人もちらほら。まったくもって自分の場違い感を感じました。この時は。

ようやく名前を呼ばれ診察が始まります。

ここで初めて症状を告げられます。かなり噛み砕いて説明された記憶がありますが、実はこのときの記憶ってあまりないのです。自覚はないのですがそこそこショックだったのでしょうか。

言われたことで覚えているのは、自分の心臓の弁がきちんと閉じていないこと。そのため血液が逆流しているということ。その量はとても多いということ。手術を考えたほうが良いということ。

後日心臓の造影CT(造影剤を入れてCTスキャン)をしましょうというので、その予約を入れてこの日は終了です。この日の診察はこれだけです。

検査しました。弁が壊れてます。逆流しています。重症です。とりあえず追加検査。

流れるように、いや、流されるように身を任せ、病院をあとにしました。

多分動揺はしていたでしょう。でも思い返しても、このときの動揺が多分今回の心臓弁膜症騒動のピークです。病気を告げられたときがピークです。

手術直前も含めて、この後は意外なほどに気持ちが大きく揺れるようなことはありませんでした。何故でしょうかね?わかりません。

「ああ、自分は心臓の病気なんだ、心臓切るんだ」

ググりまくりの夜

漠然とした不安がその日は消えませんでした。帰宅してからは「心臓弁膜症」と入力して検索しまくりです。

先人の経験談、医師のブログ、病院のWEBページ、それはそれは見まくりです。

当然気になる死亡リスクや手術方法なんかも調べまくりました。

そこで知ったのは、弁膜症の手術というのは想像していたよりもポピュラーな治療法であるということ。今まで関心がなかっただけで、医療関係者、患者、ともに多くの方がこの病気と向き合っているということ。ここ数年だけでも治療法は大きく進歩しているということ。

ネットから得た情報は、どちらかというと不安材料よりも安心感を与える要素のほうがずっと多かったのですが、それでもやはり当たり前ですが不安は消えず、この夜はあまり寝付けませんでした。

ところが不思議なもので翌朝になるとそうでもありません。前日ほどの不安を感じない。

性格的な部分も大きいのでしょう。一晩寝たら割と消化してしまいました。あとは粛々と治療を進めるだけ。やることは限られています。

もうある程度腹が座った気がしました。

近々心臓手術するんだろうな、と。

そういえば、その少し前にダイエットブログの方とリンクしようとして始めたツイッターアカウントはこの日を境に心臓病アカウントのようになっていきました。だから今では雑多垢の私のツイッターはフォローもフォロワーもお一人目は心臓弁膜症ネットワークさんだったりするのです。