ゲームセンター、というかゲームが遊べる場所というのはいろいろな場所があります。
当然もっとも一般的なのはいわゆるゲームセンター。「ゲーセン」ですね。
いつ頃からか、業界的には「ゲームセンター」という名を嫌って「アミューズメント」という言葉を頻繁に使うようになりました。「アミューズメント施設」
これはやはり、ゲームセンターが暗く、不良の溜まり場だった時代の印象を長く引きずっていたせいでしょう。私の在職時も、じゃあどんな呼び名がよいだろうなんていうアンケートを求められたことすらありました。
ともあれ、このゲームセンターにもいろいろな形態があります。
有名なのは、ラウンドワンやバンダイナムコなどの全国展開するいわゆる広域オペレーター。
そのなかでも、遊戯施設の運営のみおこなうラウンドワンやイオンファンタジー、また、ゲームそのものの開発も同時に行うバンダイナムコやセガ、タイトーなどがあります。
それより小規模になると、各地域で中小企業や個人が運営するゲームセンターがあります。規模によって違いますが、1店舗だけ営業するものから、多いと5~6店舗を抱えるところもあったりします。
また、地域のボウリング場やバッティングセンターなどに併設されたゲームセンターも多いです。
さらにそれより規模が小さいものもあります。
ゲーム以外を扱う商店の1角に作られたゲームコーナーだったり、あるいは商業施設の空いてしまったテナント跡地で営業しているゲームコーナーなどなど。
そもそも、日本のビデオゲームが急激にポピュラーになったのは、この最も小さなゲーム場でした。
年配の方はおわかりでしょう。
「インベーダーゲーム」です。
それ専門の「インベーダーハウス」なんていうのも各地に見られましたが、多くの方がこの大ヒットゲームを遊んだのはおそらく喫茶店におかれたゲーム機でしょう。
「テーブル筐体」というやつです。
それまでは「アップライト筐体」といわれる機械で立って遊ぶのが主流だったゲーム機を、テーブル代わりにしてしまうという発想が面白いですね。
そのへんの話は後々のエピソードに譲って話を戻しましょう。
さて、それでは各々ゲームセンターはどのようにゲームを設置しているのでしょうか。
資本力のある広域オペレーターの場合、ほぼ自前でゲームを揃えています。買っているのですね。
ゲーム機の値段はピンきりですが、下は数万から上はもう1軒屋が建てられるほどのお値段のものもあります。なので大手はさておき、小さいお店ではすべてのゲーム機を自前で購入するなんていうのは不可能です。かと言って安いゲーム機だけというわけにもいかない。そんなお店にはお客さんも集まりません。
そこで、「リース契約」でゲームを設置します。
安定して長期の売上を見込めるようなゲーム機以外は、必要なときだけ借りて営業するわけです。
契約条件は様々ですが、売上の何%かを頂くという形がほとんどです。店舗側は場所と電気代を負担するだけなのでリスクはほぼありません。
デメリットとしては、置きたいときに置きたいゲームをいつでも置けるわけではないというところでしょうか。当然貸す側としても持ち駒に限りがありますし、そこに投資もしているので当然高い売上が見込める店舗が優先になります。店舗やゲーム機をランク付けして、Aランクの機械はAランクのお店へ、Cランクの機械はCランクのお店へとなります。人気の新製品など、それはもう集客確実な人気店にしかリースできません。
ただし、Aランクのゲームとて時間が経てばやがて飽きられ、Bランクへ、そしてCランクへとランクダウンしていきます。そのころになって、やっとCランクのお店に設置されることになります。
でがらしです。
ちっちゃいお店のラインナップがあまりパッとしないのはそんな理由です。
ただお店も当然必死ですから、人気のあるゲームを要求してくるわけで、お店で1時間2時間と文句を言われご指導され続ける何てことも。
そこはもう口八丁手八丁でなんとか納得していただいて手持ちのゲームで遣り繰りするのです。
こういった、規模の小さい店舗や、ゲーム専業ではない店舗の一部をゲームコーナーにしたような形態を、「シングルロケーション」と我々は呼んでいました。「ロケーション」というのはゲームを置いて営業している場所のことですが、あまり消費側では使わないようですね。私も仕事しているときしか聞いたり使ったりしたことはありません。
そんなシングルロケーションですが、そのバリエーションはそれこそいろいろで、私の担当したものだけでも、ゲームセンター、バッティングセンター、ボウリング場、スーパー、百貨店、喫茶店、バー、土産物屋、旅館等々。
そんな癖の強いゲームのお仕事をつらつらと綴っていこうと思いますが、とりあえず今回はここまで。